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効果的なのにあまり知られていないトリックや、巧妙なサトルティなど、私のお気に入りを紹介します。
2011年08月02日 (火) | Edit |
マジックを演じる際、秘密動作に何らかの意味づけをするというのはごく一般的なセオリーです。僕も基本的にはこの方針に賛成です。しかし実際の現場では、そこまできちんと意味づけをしていなくても通用してしまう、というのも事実です。

極端な例としては、パスのカバー。パスを行う際は、通常何かしらミスディレクションをかけます。見られても大丈夫なパスをするのではなく、パスの動作自体を見せないように、観客の意識を別の場所、別の事柄に集中させるわけです。ところが、ここまで観客の意識をコントロールできるのであれば、実はパスを行う必要すらなく、単に堂々とカットしても通用してしまうのです。

もちろん、例えばアンビシャスカードをカットだけでやろうとするのは、カットに気づかれてしまった場合にマジックそのものが成立しなくなり、リスクが大きすぎますが、カットほどダイレクトな動作でなければどうでしょう。

動作の目的が観客に分からなければ、動作そのものに気付かれてしまったとしても、一瞬「何だろう?」と思うだけで済まされますし、たいていの場合はミスディレクションによりその動作自体が観客の目に止まりません。そしてこの動作によって効果的な現象を起こせるとしたら、これはローリスク・ハイリターンな手法となります。

John Carey氏は、長年のキャリアからその辺のギリギリのラインをうまく突いてきます。録画した映像を論理的に見ていくと明らかに無駄だったり説得力不足だったりするのに、現場での観客は気づかない。そういう動作を躊躇なく手順に取り入れることで、演者側の負担は減らしつつ、大きな効果を達成しています。

Simple Fusionではそのセンスが遺憾なく発揮されています。現象はよく考えるとイロジカルなんですが、観客には大変受けるようです。もちろん、無意味な動作は、観客に作業を与えるなどの適切なミスディレクションにより、観客の意識に上らないよう配慮されています。逆に、そういうテクニックをきちんと身につけているからこそ、多少乱暴ともいえる手法がマジックになるのです。

僕はこういうトリック、敬遠しがちなんです。見ていてもやもやした感じが残るので、演じる際に堂々と振る舞えなくなるからです。しかし実際に演じてみると、マジシャンの不安とは裏腹に、一般の観客には絶大な効果を持ちます。まさに、マジックは観客の頭の中で作られるのです。

好みの分かれるところでしょうが、意味のない動作もあえて受け入れてみると、マジックの幅が広がるかもしれません。




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2011年05月27日 (金) | Edit |
久しぶりにデビッド・カッパーフィールドの映像をご紹介。

2010年の映像です。デビッドのTVスペシャルが途絶えて久しいですが、こんな形でゲスト出演することは結構あるようですね。このときは大小含めて3つの演目を立て続けに演じています。

通常の感覚からすると、ゲスト出演としてはかなりゴージャスな内容ですが、デビッドのショーからすると、これでも比較的コンパクトな営業ネタ、といったところなのでしょうか^^

この映像で僕が注目するのは大ネタ2つの間のつなぎネタ。2:03あたりからの展開の小気味よさです。

拍手させておいて、あるいは笑わせておいて、その盛り上がりの中で、次の話題にさっと移る。かっこいいです。

話題に移るタイミングは、遅すぎても早すぎても良くありません。遅すぎると、ん?いつまで拍手していたらいいのかな?他の人はどうするかな?などと気が散ってしまいます。

逆に早すぎると、せっかく拍手してるのにそれを打ち切られた、あるいは無視されたように感じ、パフォーマーとの心の距離が離れてしまいます。

盛り上がりのピークに達したあたりを見はからって次の展開に移るようにすると、観客の気分を高いレベルでキープしたまま次に進められるのでしょうね。見習いたいものです。

Youtubeでデビッドの動画はたくさん見られますが、この映像のようにいくつかの演目を続けて見られるものは意外と多くありません。演目と演目の間のつなぎ方を研究する上で、非常に参考になります。





2011年01月25日 (火) | Edit |
山口のジョニーさん、10代なのにいつも唸らされています。自分が同じ年だった頃を思い出すと・・・恥ずかしくなりますね^^;

我以外皆師匠

いつかお会いしたい人のひとり。チェックをおすすめします。

なお、2/12(土)のレクチャーですが、まだ席に余裕があります。お申込はこちらからどうぞ^^



2011年01月17日 (月) | Edit |
ポン太 the スミスさんのブログはいつも興味深い(しかも力が抜けている!)のですが、今回も唸らされることが書いてありましたので紹介します。

守破離

「師匠選びも芸のうち」など、含蓄。



2010年12月05日 (日) | Edit |
和泉圭佑さんのサイトで面白い記事が載っていたのでリンク。ためになります。

客観無くして真のマジシャン在らず

和泉さんは海外の記事を意欲的に翻訳して紹介してくれています。今後の展開も楽しみです。



2010年08月02日 (月) | Edit |
佐藤総さんのレクチャーに刺激を受け、しばらく離れていたあるトリックにここ最近取り組んでみたところ、久々に進展がありました。

10年来いじくり回し続けている古典的なプロットで、それなりにこだわっているポイントがいくつかあるのですが、今回はあえてそのこだわりの内の1つを捨ててみたところ、ずっと引っかかっていた問題の1つがすんなりと解決したのです。

解決に採用したのは、全く別のトリックのために考えていた、あるカードの扱いです。実際に試してみたら予想以上にうまくはまってくれました。そのハンドリングが自分の中でちょうど旬だということもあり、今回の成果にはかなり満足しています。しかもこのトリックの前段で演じられる別のトリックも芋づる式に思いついてしまいました^^

長年のこだわりを捨てるのはある種の寂しさを伴うのですが、そこから得られるものから目を背けるのはもったいないですよね。どうにも行き詰ったときは、何か捨てたらどうなるか、捨てるとしたら何を捨てるかをあえて意識してみるのも有効かもしれません。



2010年05月03日 (月) | Edit |
最近練習中のコインマジックを旧友の夢屋茂八さんに見てもらったところ、きれいだけど、間をもっと取った方が良いのでは?とアドバイスをもらいました。3枚のコインが消えてまた出てくるというものなのですが、消した後にすぐに出しにかかるのがもったいない、消えたことを観客がちゃんと認識し、味わう余裕を与えてから、次の展開に進んだ方が良い、と。

確かに自分としては、パームした方の手が自由に動かせないので、その後ろめたさに耐え切れずすぐに出してしまっていたのです(汗)。

彼曰く、時々目ざとい観客が、パームしている手の不自然さに気が付くかもしれない。そうだとしても、残りのほとんどの観客がしっかりと現象を楽しめた方が面白い。また、後ろめたい状況を実際になくしてしまうことよりも、マジシャン自身が後ろめたさから解放されることの方がかえって重要だと思うとのことでした。

ある有名なマジシャンは、演技の最後に手にコインが残るのが気になり、初めのうちはどうにかして処理したいとがんばっていたのですが、あるとき、別にそのままパームしていればいいんだ、体全体でリラックスして、観客との会話を楽しんでいればいいんだ、と気が付き、それから観客の反応もぐっと良くなったそうです。

マジシャンとしては、秘密を守らなければ話にならない。でもそこにこだわりすぎると、観客との距離も縮まらないし、観客の楽しみを奪ってしまうことになるということなんですね。

う~ん。なかなか体現するのは難しそうですが、しっかりと頭に置いておきたいと思います。



2010年04月04日 (日) | Edit |
世界選手権のジュベールのショートプログラム、何度見ても良いです。

このショートプログラムは序盤の数回のジャンプで観客の心をがっちりとつかみ、後半はステップとスピンだけで観客を揺さぶり、酔わせるといった構成になっています。バンクーバーではジャンプに失敗したためその目論見が果たせていませんでしたが、世界選手権では完璧と言って良い出来だったと思います。

ジュベールは、ジャンプを決めてガッツポーズをしたり、観客に目線を積極的に送ったり指差したりと、コミュニケーションを取りまくります。本人が楽しそうなのがストレートに伝わってくるので、応援している側も嬉しくなります。マジックでもそうですよね。マジシャンの感情が見えた方が面白い。

演者は観客の反応を欲しがりますが、観客だって演者の反応が欲しいのです。マジックでは現象をアピールすることに意識が行きがちですが、感情をアピールすることに注意を向けると、演技の魅力がアップするように思います。







2010年01月04日 (月) | Edit |
新年あけましておめでとうございます。

昨年夏に始めたこのブログも、読んでくださっている方が少しずつ増えているようでありがたいことです。今年も研究の中で見つけたアイディアを提供していきますので、応援していただけると嬉しく思います。

さて、年末年始は実家に帰省してきまして、例のごとく姪っ子に「マジックやって!教えて!」とせがまれておりました。身内の子供というのは本当に遠慮がありませんから、普段マジックを見慣れた大人の方にしか見せない私としては、姪っ子の容赦ない突っ込み、際限のない要求にどう対処するか、いつも頭を悩ませています。

ただこれは、自分にも責任があるのです。姪っ子が小学校に上がる前からせがまれるままにマジックを見せてきましたから。しかも悪いことに、要求に負けて繰り返しやって見せたり、種明かしをしてしまったりもしてきましたから(汗)。

そのせいで今では、

マジックを見る→種が分かるまで見る→分からなければ教えてもらう→分かったら次のマジックをせがむ

というやりとりが一つの遊びのパターンとしてすっかり定着してしまっているのです。最初の頃は、子供だましの他愛のないトリックだから問題ないと思っていたのですが、それは甘い考えでした。大きくなり、見せるマジックが少しずつ本格的なものになっていっても、このパターンはなかなか崩せません。私は見せれば見せるほど苦しい立場に追い込まれてしまいます。そして、姪っ子に歪んだマジックの楽しみ方を身に付けさせてしまったことにも、少し心が痛むのです。

幸い姪っ子は、マジックを見せることにも少し興味があるようなので、最近は演じる側の気持ちもちょっとずつ伝えるようにしています。マジックは演じる側も見る側も、どちらも楽しくないと長続きしません。終わった後に双方ハッピーになれるのが、演技者と観客の良い関係だと思います。それが姪っ子に伝わることを期待しつつ、そして自分自身もそんなマジックが実践できるよう、今年も精進するつもりですので、どうぞよろしくお願いいたします。

2010年、私にとっても皆様にとっても実り多い1年になりますように。



2009年12月18日 (金) | Edit |
フレンチドロップのロングシガレットの商品紹介に「ナルシストになりすぎた自分を落とすも良し」とあるのを少し前に読んで、個人的にはジョークグッズ的なものを使うのはあまり好みではないのですが、演技全体のバランスを意識することは大事だよな、と考えていました。

で、今日たまたま見つけた記事がこちら→みんなが優秀だと、組織はダメになる

マジックと直接関係はないのですが、バランスの話に通じる内容です。手順構成やショーの構成を考える上で参考になると思いました。