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効果的なのにあまり知られていないトリックや、巧妙なサトルティなど、私のお気に入りを紹介します。
2009年07月22日 (水) | Edit |
高木重朗氏の語録を『カードマジック入門事典』などの明快な解説で有名な浜野明千宏氏がマジック・マニアズ・サークル(MMC)のHP高木語録としてまとめていらっしゃいます。

私、寡聞にして知りませんでしたが、有名なMMCのHPですので、既にご存知の方も多いかとは思います。非常に含蓄のある言葉ばかりで勉強になりますので、リンクを貼らせていただきました。

高木氏は、私がマジックにのめり込み始めたばかりの頃に亡くなられたので、もちろんお会いしたことはありませんが、その著作には当時も今も大変お世話になっています。雑誌『ザ・マジック』の追悼特集号も何度も読み返しました。

特に印象に残っているのが、その追悼号で二川滋夫氏がご紹介されていた語録の一つで、『風姿花伝書』を読むこと、というものです。

他に紹介されているマジックに関するアドバイスの中で、『風姿花伝書』を読むこと、というのは明らかに異質な感じがしました。世阿弥が能楽を演ずる上での心得を書き記したという『風姿花伝』と、マジックとが何の関係があるのか想像することもできませんでしたが、読んでみて、その素晴らしさに感銘を受けました。

若いうちにどのような稽古をするのか、どんな相手にどんな演目をどのように演じるのか、そして自分の成長、老化に合わせてどのように芸風、雰囲気を変えていくのか、丁寧に書かれており、マジックに直接関係あるなしに関わらず、芸能と呼ばれるものに興味のある方なら一度は読んでおくべき本だと思います。

また、ハリー・ロレイン氏が薦めている本として、デール・カーネギー氏の『人を動かす』を、確か高木氏の著作である『魔法の心理学』の中でご紹介されていた覚えがあります。良い人間関係を築き、成功を招き入れるノウハウが凝縮されている、言わずと知れたベストセラーです。

対人コミュニケーション要素の大きいクロースアップ・マジックにはもちろん、どんな仕事にも応用のできる知恵が得られます。

私、いわゆるマジック馬鹿なところがありますので、マジックの大家である高木氏の言葉として紹介されていなければ、この2冊の名著も、その存在すら知らずにいたかも知れません。しかしその2冊とも、私のものの考え方、価値観を変えるほどのものがありました。人生を変えたと言っても言い過ぎではないと思います。

あれだけのマジックの研究をされながら、マジックと直接関係とあるように思えない分野にも精通され、それをマジシャン仲間にも分け合っていた高木氏は、本当に幅の広い、懐の広い方だったんだなあと、しみじみ思います。

















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2009年07月08日 (水) | Edit |
この技法は荒木一郎氏の『テクニカルなカードマジック講座』で初めて知りました。「未来へのテレポーテーション」という作品の中で使われています。

この技法で起こせること、それは、テーブル上に置いてあった表向きのカードがいつの間にか別のカードに変わっている、という現象です。詳細は省きますが、まあミスディレクションを利用するわけです。カード・アンダー・ザ・グラスに似た感覚と言えば分かりやすいかも知れません。ラファエル・べネター氏も似たようなことをやっていますが、こちらの方が無理がないと思います。

私、実はこういう「いつの間にか」系の現象に目がないのです。うまくいけば観客に与える印象は強烈ですし、演じる方にリスクを冒す快感があるのもいいのかも知れません(笑)。

解説されている手順は、ばらばらに混ぜたカードの順がそろったりしながら、最後には表向きに置いておいたジョーカーが、いつの間にか観客の選んだカードに変わるというものです。

まずジョーカーが特別なカードとして紹介され、最後に現象を起こすまでテーブル上で控えているのですが、この特別なカードを「わざわざ」取り出すという演出は観客の注目をジョーカーに集めやすく、結果としてこの技法の秘密を見破られやすくなる気がするので、私はこのまま演じる勇気がありません。

かといって、まったく気にもしていなかったカードが別のカードに変わるのもインパクトが弱そうですし、あまりにも不意打ちで気が引けます。でも、何とかこの技法を使って観客を驚かせたい! そこで、次のようなプロットで手順を組み立ててみました。


3人の観客に1枚ずつカードを取ってもらい、覚えてもらいます。

デックに戻し、よく混ぜた後、3人のカードを順番に当てると宣言します。
ところが1人目のカードを当てようとすると2人目のカードが出てきます。
気を取り直して再度1人目のカードを当てようとすると今度は3人目のカードが出てきてしまいます。

マジシャンは焦ります。
しかしふと見ると、最初に取り出したカードが1人目のカードに変わっているのです。

目的のカードと違う、別の観客のカードを取り出してしまったということで、いったん注目は集まります。しかしこれは間違いということで何気なくテーブルに置き、マジシャンは再度チャレンジしようとする。この流れで、観客の注意はこのカードから自然に離れてしまいます。が、観客の記憶には確実に残ります。

そして最後に、「忘れていたけれどもついさっきまで注目していたカード」が、求めていたカードに変わるのです。

どうでしょう。見破られるリスクを減らしつつ、トミー・ワンダー氏のいうところの conflict も表現できそうな、面白いものになっているのではないでしょうか。感情表現を含めてきちんと演技できればという条件付きですが、我ながら良い手順ができたと思います。

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